WBA世界ミドル級タイトルマッチ 王者ロブ・ブラント(米国)× 同級4位 村田諒太(帝拳)

いや~この試合は、本当にすごかった!感動以外何物もない試合でした!

 

前回、あれだけコテンパンにやられた相手ですから、この試合が組まれた時点で、村田選手はまた同じ展開で負けるのではないか、対策をしたところでせいぜい1~2R挽回するのが関の山ではないか、と誰でも考えたと思います。私もつまらない試合が組まれたなと始めは思いました。

日常の会話と同じで、何かかみ合わない相手とか、やりとりにしっくり感がない人とか、そういうことが誰にでもあると思いますが、そういう相手に自分の主張を理解させるのは至難の業です。

村田は良い選手だけど、相性の悪さっていうのはボクシングにもあって、いかんともしがたいんですよね~、とある元東洋太平洋のチャンピオンが話してくれました。ボクシングにも克服するのが難しい相性の良し悪しは、やはりあることでしょう。

しかし、村田選手にはそういった難しい現状を、何とか覆してくれそうな期待や予感を感じさせてくれる選手であることも事実です。

今までのボクサーにない、何といいますか、やはり賢さなのでしょうか。

 

注目の1Rは、出だしからチャンピオンのブラント選手が積極的に攻めてきて、いかにも主導権は自分にあるんだぞというインパクトを与えてきた印象でした。挑戦者の村田選手に対して、前回の試合を再び思い出させ、精神的なプレスをかける作戦かなと思いました。

しかし、村田選手はこの試合にかける意気込みと準備が整っていたようで、一瞬の動揺はあったかもしれませんが、徐々に手数を出しながら、右のボディーブローや初めて見るような右フック?で対抗して、手も足も出なかった前回とは全然違う状態のようでした。

チャンピオンは手数とフットワークで対抗し、まあ、1Rはブラント選手が優勢かなと思いましたが、村田選手はとにかく被弾覚悟で前に出る積極的な攻めの気持ちが見られましたので、何かが起こりそうなワクワク感も感じられました。村田選手が右ボディーを放った後、チャンピオンがフットワークで左回りに逃げようとした時、すかさずの左ボディも初めて見たカウンター気味の良いパンチだと思いました。

多くのボクシングファンにとって試合の楽しみと言えば、KOはもちろんですが、恐怖を乗り越えて前に進む、この夜の村田選手のような勇気を見ることもそのひとつではないでしょうか。

2R目には、ブラント選手も前回の村田選手とは少し違った印象をもったのか、手数は出すものの、村田選手の気勢をそぐような軽いパンチを見舞うだけで、本気で効かせるような強いパンチを打っているようには見えず、警戒しながらフットワークを使ってポイントを取りに行くのかなと思いました。

パンチを出しつつ村田選手のパンチを防御する方向へシフトしたのでしょうか。これは私の感想ですが、ブラント選手が前回と違う村田選手を肌で感じ少し焦りがあったのではないかという気がします。そのような作戦へと舵をきったため、手数は多く見受けられましたが、ちょっとしたとまどいの中で、村田選手の得意の右ストレートを受けてしまったのではないでしょうか。ともかくこの村田選手の強烈なパンチがヒットしてから一気に観るもののボルテージがあがりました。

 

明らかに村田選手攻勢となりましたが、更に意外なことに村田選手の左フックがブラント選手の顔面をとらえ、これがかなり効いてダウンに繋がったようでした。この左フック、これも過去の村田選手の試合では見たことのないパンチでした。

村田選手は右ストレートが強烈で、このパンチひとつでチャンピオンになったと言っても過言ではないと思いますが、この左フックは意外でした。自分でも話していたとおり、短期間でボクシングの幅をかなり広げたと思います。

そして、ダウンの後は一方的にパンチを浴びせ見事なTKO勝ち。

あっ、そうそう。もうひとつ村田選手の動きに注目したのが、クリンチをさせない体の使い方ですね。2Rにラッシュをかけた時、相手がクリンチに逃れようと村田選手の方に体を寄せて組みきていましたが、テクニックか偶然なのか、うまくかわしてパンチを当てていき、これもTKOに繋がったと思います。チャンスにややもするとクリンチをされてKOを逃すシーンは、いろんな試合でも見られるものですが、この試合、村田選手がパンチを打ち続けることができたのも、クリンチさせなかったということがあります。

 

さて、さて、それにしても私がボクシング観戦でここまで心がゆさぶられたのは、長谷川穂積選手が最後のタイトルマッチでTKO勝ちして以来ですね。その試合は会場で生観戦していたので特に感動したのですが、観客は総立ちで長谷川選手に拍手を送っていました。今回の村田選手も、会場ではそれくらいの感動があったのではないでしょうか。ともかく、村田選手は他のボクサーにない個性をもっていると思っていましたが、あんな結果を出すなんて、昨夜の試合は本当に感動させられました。

村田選手は、試合後のインタビューでチーム帝拳に感謝の言葉を連発していましたが、本当に大きなプレッシャーに中で帝拳ジムのサポートに感謝していたのだと思います。しかし、一瞬涙を流す場面があり、やっぱり個人的にはすごく大きな不安があって、それをはねのけた安ど感が、村田選手の涙に繋がったのではなかったでしょうか。

チームのサポートはすごく大きいと思います。しかし、リングの中まで手とり足取りサポートはできません。

相手との対戦は、やはり自分だけ。

村田選手は不安はある、しかし、不安は自分を成長させてくれる、といったようなコメントを残していました。

何かと不安の多い世の中で勇気づけられる言葉だと思います。

 

試合の何日か前に帝拳ジムの本田会長が、村田選手の練習を見せるために相手のスタッフを招待したという、新聞記事を読みました。

招待という言葉に違和感があり、真実は分かりませんが、もしかしたら本田会長は村田選手の勝利を確信しているのかなとも思ったものでした。試合後の感想を聞いてみても、想定どおりの試合だったみたいで、さすがにボクシンングを見る目が違うなと感心しました。

ともかく、大きな感動を与えてくれた村田選手、ありがとうございました。

 

 

 

 

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WBCライトフライ級タイトルマッチ 王者 拳四朗 × 同級1位 ジョナサン・タコニン

親しい知人から、貴方の書いているボクシングブログを見たいからブログのタイトルとアドレスを教えて下さい、と言われ、しばらく投稿していなかったのですが、この言葉をきかけに久しぶりに記事を書こうと思います。

ちょうど、村田選手と拳四朗選手のダブルタイトルマッチがテレビで中継される予定でしたので、昨晩はジムでの練習も早々と切り上げ、家に帰って時間通りの晩御飯。準備万端でゆっくり観戦することにができました。

まずは、拳四朗選手の試合から。

相手は軽量級とは言え70%近くのKO率を誇る、同級1位の挑戦者ジョナサン・タコニン。この試合は、拳四朗選手のテクニックが一発強打のタコニン選手をどうやってかわしていきながら勝利するのか、というのが一番の興味でした。しかし、拳四朗選手は挑戦者ほどKO率は高くないのですが、チャンピオンになってますますパワーアップしている印象があり、チャンピオンも自信満々でしたからおそらく負けることはないだろうと期待を大きくしての観戦でした。

試合内容ですが、最初から拳四朗選手はサウスポー相手に左のジャブをよく出していましたね。強弱をつけたジャブは距離や相手の出方を伺うには効果的ですが、相手の右ジャブも近い距離にあるので被弾する可能性も高くなり、私の印象としては、最初からよく勇気を出してジャブを出しているな、というものでした。チャレンジャーのタコニン選手も好戦的で、一発当てれば勝利はこっちのものだと言わんばかりのパンチで応酬します。身体を丸くし相手のパンチをガードするディフェンスで、チャンピオンがロープを背負った時には左右の強烈な挑戦者のボディが入り、一瞬ヒヤッとさせられました。

しかし、その後は足を使い、ロープに詰まらされることもなく距離をとってのカウンター、右ストレートを時折ヒットさせていました。相手がチャンピオンのふところに入ってきて、距離をつぶされた時には右アッパーも的確にヒットして、これは面白い試合になりそうだなと思っていました。相手の強打もなかなかのものがあり、試合が進むにつれて特に体を潜らせての左右のフック、左のダブルを拳四朗選手も何回か被弾していまして、目が離せない展開になりました。相手もさすがにランキング1位の挑戦者です。

試合の中盤くらいでしょうか、お互いが相手のパンチの打ち終わりを狙って、お互いがパンチを受ける状態が続きます。自分のパンチが当たったぞ、と思ったらすかさず、相手のパンチを受けてしまうといった感じです。パンチを打つ瞬間はガードが空きますから、そこをお互いが狙い撃ちしているみたいでした。ただ、先の先を見据えたパンチの応酬はかなりの体力や神経を使うはずで、レベルの高さを感じました。挑戦者がますます勢いよく前に出て来るのを迎え撃つのは少々危険だと思いましたが、相手の勢いを止めるためか、リスクを犯しながらも足を止めて打ち合うチャンピオンもなかなか見せ場を作ってくれます。

チャンピオンは時折打ち合いましたが、今回の試合はあくまでも冷静な試合運びだったと思います。相手のパンチをよく見ながら、徐々にカウンターのタイミングがあってきて、チャンピオンペースになりつつあったと思います。右アッパーやひっかっけ気味の右フックもタイミング的に合ってきている気がしました。被弾していましたが、このパンチでは倒れないという自信のようなものも感じましたし、自分のパンチを当てれば倒せるぞ、といった自信も感じました。最後は、自分から積極的に仕掛けてパンチを繰り出す拳四朗選手に、おそらくセコンドだと思いますが、(相手が)打ってから、といった声が聞こえ、それから相手がパンチを出してくるところを冷静に見極めた末、相手が左フックを打ってきたところをかわしながら右ショートカウンターが見事に決まり、TKOに繋がりました。

それにしても試合中に、自分のピンチを冷静に振り返りすぐ対応するあたりはさすがです。

具志堅用高のもつ日本防衛記録を狙うと言いながら、強い選手とやりたいと話す拳四朗選手の今後が楽しみです。

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2014.12.31WBA世界Sフェザー級タイトルマッチ 王者・内山高志×同級8位イスラエル・ペレス

2014年の年末のおおとりは、やっぱりこの人・内山高志選手でした。

1年振りとなる試合でしたが、不安を感じさせず、報道によりますとハードパンチのゆえに痛めていた右拳もほぼ癒されたそうで、長期休養はいろんな意味で良かったと思います。

この日の内山選手は、基本通りの左ジャブがとても良かったですね。リードの左ジャブがあれだけたくさん相手を捉えると、攻撃がしやすいと思います。昔、左が世界を制すと良く言われていましたが、今でもその通りだということを証明したような試合でした。
リードのジャブが必要なのは、何よりも自分の距離で戦う事ができるので、次のパンチを繰り出すと当たる確率がグンと上がります。しかも試合のペースを握りやすい。反対の立場から見れば相手のリードのジャブを簡単に食らったり、グローブでカバーしてるだけではいけないということですね。距離とペースをつかませないという点で、とても大切な左ジャブという訳です。

同日行われたリゴンドー選手がこの点でとても長けていると思います。

さて、内山選手はこの試合で、基本のジャブを丁寧に多様しつつ、攻撃面ではいろいろ試しながらやっている印象でした。井岡選手と言い、内山選手と言い、かなり試合運びに余裕があるなと思いました。

ペレス選手も挑戦者らしく、手数を多く繰り出し、勇敢に内山選手に向かっていましたが、いかんせんパンチ力に違いがありすぎました。最初から、強烈な力に圧倒されているようでした。今までに経験したことのないようなパンチ力だったのではないでしょうか。ジャブをまともに食らって、蛇ににらまれたカエルのような場面が何度もありました。

内山選手は、相手の右ストレートに対して、タイミングを測る右カウンターや、ガードの外側からねじ込んで当てる右フック、接近戦での左ボディブローなど、まるで練習をしているかのようでした。貫禄のあるチャンピオンですね。

唯一気になったのは、ディフェンス時のグローブに位置ですね、今までの防衛戦と比較すると少し相手との距離が近い気がしました。先ほどあげた、フック気味の右やボディブローを意識して近づいていたのかも知れませんが、これらを試していたとすればたいしたものだと思います。
ペレス選手もカウンターを始め、左ボディや内山選手の左にかぶせた左フックなど、いろいろ研究していた成果もあったように思いますが、あまりの破壊力に戦意喪失したみたいですね。

それにしてもボクシングにおけるパンチの破壊力は、とてつもなく大きな魅力です。

この年末は井上選手と内山選手の見事なKOが、いかにも王者らしい何よりも光ったタイトルマッチだったと思います。

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2014.12.31 WBA/WBOスーパーバンタム級タイトルマッチ 王者リゴンドー×天笠尚(山上)

まさかのリゴンドーが来日でしたね。

本当に実現するとは思いませんでした。
なんだかんだ言いながらこればかりはテレビ局のお蔭かも知れません。
私は名古屋に在住していますので、大阪なら近いし会場まで足を運ぼうかと考えましたが、もうひとつの世界戦・内山高志選手も見逃せないなと、今回はあきらめてテレビ観戦致しました。
しかし天笠選手とリゴンドー選手。
誰がどう見てもボクシングの力量差が歴然としていて、ビートたけしが失礼な言い方だけどとか、本人自らももそう話しているように、1%の可能性を信じて戦いに挑む天笠選手の、まずは勇気をたたえたいと思います。ボクシングの魅力は何よりも戦う勇気だと思います。

テレビ局がこのボクシングの世界戦を放映する構成が、スポーツのバラエティの中の一角でしたので、おそらくボクシングファン以外の方々も御覧になっているはずで、そんな中、リゴンドーがあまりにも一方的に天笠選手を打ちのめし、あっという間に試合が終わってしまい、ボクシングなんて所詮こんなもの、と思われてしまうのが気の小さい私の最悪のシナリオでした。

しかし思いのほか、天笠選手がリラックスしていたので、こちらが驚きました。一方のリゴンドーも天笠選手の背が高いのでちょっと勝手が違う感じでしたね。1ラウンドが無難に終わって少し安心しました。

さすがにリゴンドーはこのやりにくそうな天笠選手に対してボディーからスピードのあるジャブ・ワンツーなど、レベルの高さを伺わせます。天笠選手は、当初相打ちの作戦と話していましたが、繰り出すパンチを華麗なステップやダッキングでいとも簡単に外してしまい、やはり天笠選手ではこの相手には難しいなと思わせる序盤でした。あのドネアでさえ手を焼いてまともにパンチを浴びせられなかったリゴンドーです。役者が違うかな、というのが正直な感想でした。

その後も天笠選手は、多分、得意なんでしょう、右のカウンター・ストレートを狙っているようでしたが、足早に逃げられてパンチが当たりません。リゴンドーは余裕があって、ステップを使わない時は、天笠選手のジャブを軽くパーリングしていたり、試合を楽しんでいるようでした。

後、妙にリゴンドー選手が紳士的だったのには驚きましたね。クリンチの離れ際に汚いパンチで相手をKOしたり、ちょっとずるがしこく正々堂々と戦わない印象をもっていましたが、この試合のリゴンドー選手は余裕があったのか、なかなか紳士的でした。

リゴンドー選手は、ガードの高い天笠選手に対してちょっと攻めあぐねている感じもありました。いくら相打ち狙いでも、さすがにリゴンドーのパンチをまともに食らってしまっては試合にならないので、このガードを高く保っていたのは良かったと思います。しかし、それでもちょっとした隙間を良く狙って、スピーディに踏み込んで空いた場所へパンチを入れ、相手が打ってきた時にはもういない・・・。時に天笠選手の左ジャブに対し、左ジャブを返す・・・相手にジャブを当てさせず、決して主導権を渡さない上に、攻め手をたくさんもっている、このチャンピオン・リゴンドーは実にうまいなと改めて関心して見ていました。

先に展開を有利に運んだのは、やはりリゴンドー選手でした。天笠選手のガードが高いとみるや、両手のガードの下側からアッパーカットをすごいスピードでねじ込んで来ました。これにはさすがに天笠選手も対応できていませんでしたね。ここから一気にたたみかけるパンチ。天笠選手はこれで終わりかと思いましたが、意外や意外、持ちこたえてステップしながら、まだまだ大丈夫だと自らアピールしていましたが、これには会場も大いに湧いていたようでした。

しかし、こんな絵にかいたような劣勢の試合の中盤に思わぬ天笠選手のパンチが炸裂しました。解説者もパンチの打ち方が奇麗なものではなく上半身と下半身がバラバラでしたけど、と言っていましたが、これこそ最後の1%に賭ける執念だったのだと思います。天笠選手の自分の後ろに回り込んだリゴンドーに対し、半分体をよじりながら放った、しかし、この時の天笠選手のパンチ、実に正確にリゴンドーの顎を捕えました!

お見事!

私、ぼんやり見ていたのですが、急に目が覚めてきました!(笑)
天笠陣営の会長が、天笠選手は当て勘が良いと話していましたが、そんな良さの出た場面ではなかったでしょうか。二度目のダウンも奪って、今世紀最大の番狂わせがやって来そうな展開になりました。
すごい!これぞボクシング何が起こるか分からないぞ!とワクワクして見ていました。

リゴンドー選手も完全に効いていて、足取りがおぼつかず、後一発を急所に決めていたら、というラウンドでした。実に惜しかったです・・・・


次のラウンド以降も天笠選手が手数を出して行けば、かなり奇跡が起きそうでしたが、多分、減量の影響ではないでしょうか、スタミナ切れという感じでしたね。
その後はリゴンドー選手が回復して、天笠選手のスタミナ切れを読み切って正面からワンツーで天笠選手はダウン。良く立ち上がりましたが、もう燃料切れの天笠選手には戦うエネルギーはありませんでした。

それにしても例え99%勝てそうにないくらい強い相手でも、威力のあるパンチを一つ打ちこめば、勝敗がひっくりかえるかも知れないという、ボクシングならではの面白さを伝えてくれた試合でした。

正直、天笠選手にはあまり期待していませんでしたが、リゴンドー相手に良い試合を見せてくれたと思います。本当にお疲れ様でした。

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2014.12.31 井岡一翔×ジャン・ピエロ・ペレス(元WBAフライ級暫定王者)

大みそかの試合にもかかわらず世界タイトルマッチではなくて、井岡選手にとっては少々物足りない試合だったかも知れませんが、昨日の村田選手のように、世界戦ではないためにかえって色々なことを試すことができた試合ではなかったでしょうか。

世界戦ほど気持ちの乗り方が高ぶってはいない印象でしたが、結果的にフライ級でしかも元暫定王者相手にKO勝ち。内容もまずまずだったと思います。
まず良かったのは、コンビネーションからのボディブローですね。相変わらず形が奇麗で体重が乗った良いパンチだと思います。
相手のペレス選手も元暫定王者というだけあって、なかなかテクニカルなうまい選手でした。特に左のパンチの使い方が上手で、序盤、井岡選手のパンチの打ち終わりを必ず狙っていて簡単に試合の主導権を渡しませんでした。また井岡選手の得意の左ボディに対し左フックや、左ジャブに左アッパーのカウンターを合わせ、時には左フックに右フックを打ってみたり、非常に脅威を感じさせます。このペレス選手の左のパンチは、お手本とも言えるものではないでしょうか。一方、ディフェンスも抜群で、身体を上下にダッキングしたり、サークくリングでまともにパンチを当てさせないあたり、さすがだなと思いました。
今の井岡選手にとっては、相手にとって不足なし、といった感じです。

そのペレス選手に対し、井岡選手も打ち終わりを狙っていて、どちらもアグレッシブでありかつ基本に忠実なボクシングで見ごたえがありました。
この試合で井岡選手の良かったところは、左のパンチが多彩なペレス選手に対し、右のガードを常に高く保っていたところだと思います。そしてバックステップも良かったですね。打ち終わりを狙われているので、パンチの当たらない場所へすぐに移動するスピードもありました。
この攻撃と守りの非常にバランスのとれたペレス選手に、最後はそれまでに出していなかった左ボディーブローからボディへ意識をさせた後、フェイント気味に放なった右顔面へのストレートが見事に決まりKOになりました。
この難敵に、体重を上げて来たこのクラスでお見事なKO勝ちだったと思います。次回の世界戦が楽しみになりました。
井岡選手お疲れ様でした。3階級、4階級制覇を目指してがんばって欲しいと思います。

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2014.12.30 WBOスーパーフライ級タイトルマッチ オマール・ナルバエス(王者)×井上尚弥(同級8位)

井上選手自身が、この階級が一番ベストだと言った通り、最高の試合を見せてくれました。

今までもすごい選手だなと思っていたのですが、減量がきつく試合内容が良くないとのコメントに、そんな状態であんなに良い試合をするなら、今日はどうなるんだろうと期待しましたが、良い意味で期待を裏切るタイトルマッチでした。
今日の井上選手には、もう、私からは文句のつけようがありません。完璧でした。
そもそもこの階級でも長期防衛王者ナルバエス相手に2ラウンドでKO勝ちなんて、誰が予想したでしょうか。すごいに一言です。
軽量級のこの階級にあって相当パンチに威力があるんでしょうね。
何度も防衛し、しかも今まで一度もダウンしたことがないというチャンピオンに、最初からダウンを奪うのですから大したものです。
最初の右ストレートからダウン。びっくりしました。
二回目の左フックはかすっただけのパンチでしたが、かなり効いていたようでした。
このようなかすかにかすっただけで効いてしまうパンチは、時々見かけますね。
昔、シュガーレーレナード×トーマスハンーンズ戦で確かに見たことがあります。追い込まれたシュガーレイが起死回生で放った右フックがかすかにハーンズの頭をかすったのですが、その一撃でダウン寸前になりました。
狙って打てるパンチではないと思います。
その後も2ラウンドには左フックのカウンターで3度目のダウン。これは、直前にも狙って打っていましたが、軌道とタイミングを修正した見事なノックダウンパンチでした。
最後にノックアウトしたパンチは左ボディブローでしたが、八重樫選手の相手ゲハラ選手と同じ急所を完璧に打ちぬいたKOパンチでした。
この左ボディも、打つ前に同じように左ボデイを打っていますが、浅くて急所を外していたものを、やはり軌道修正して、打ちこんだものでした。
あそこの急所に打たれるとどんな選手でもKOしてしまいます。内山選手が、以前KOした時も同じ場所に決めていましたね。
いやはやそれにしても、スピード、パンチ力、勇気、コンビネーション、スタミナ、何をとっても申し分ない選手だと思います。
試合後にインタビューで相手をたたえる余裕までみせるとは、すごいチャンピオンになりそうな予感がします。
ロマゴンともあるかも知れないですね!
対戦すればこれはすごい試合になりそうです。
ともかく井上選手、ありがとう。お疲れ様でした!
一日4試合はさすがにコメントも大変です(笑)
では皆様、めげずにまた明日!

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2014.12.30 WBCライト級タイトルマッチ ホルヘ・リナレス(同級1位)×ハビエル・プリント(同級2位)

最近のリナレス選手は抜群に強いですね!

特に右のカウンターがキレまくりで、この試合もその右一発で試合が決まるのではと、目を凝らして観戦していました。最近のリナレスのスピードとキレがすごいので油断していると見逃してしまうと思ったのです。
しかし2位のハビエル選手もなかなかでしたね。このリナレス選手相手に好戦的に戦っていました。以前、日本でタイトルマッチをした時に、右フック一発でまさかの1ラウンドKO負けをしたリナレス選手でしたが、その右対策も万全でした。いつもそうですが、特にガードを高くして、よく相手を見ていました。打った後も、頭の位置を変えるなどディフェンスはほぼ完ぺきじゃなかったでしょうか。
良く相手を見ていたからだと思いますが、やはりカウンターのタイミングが見事でした。これは他の選手が練習してもなかなか身につくものではないかも知れません。
1ラウンドもカウンターでアッパーを打つあたり、思わずすごい!とうなってしまいました。
この試合もキレまくりでしたので、1ラウンドを終わって、この試合はかならずKOでリナレスの勝ちを確信しました。
ハビエルも距離の取り方、プレッシャーのかけ方が抜群で、ジャブも良かったですしパンチも的確でしたが、リナレスは最初ハビエルのジャブをまともに顔に受けましたが、次からは同じように喰うことは最後までありませんでした。同じパンチはかならず次に外していました。これが追撃を食らわなかった理由であり、勝因の一つだったと思います。
最後のKOパンチはカウンターではありませんでしたが、強烈な右ストレートでした。一発でノックアウトしてしまう今のリナレスのパンチは相手にとって本当に脅威だと思います。
3階級制覇のリナレス選手。次回からの防衛戦がとても楽しみになりました。可能なら世界の強いチャンピオンクラスと戦って欲しい気がします。今なら誰にでも勝てそうな感じです。
お疲れ様、リナレス選手!

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2014.12.30 WBCライトフライ級タイトルマッチ ペドロ・ゲハラ(同級1位)×八重樫東(同級3位)

この試合は両者の距離感が同じようでしたので、始めからかなりスリリングな試合になりました。

パンチの力はゲハラ選手、スピードは八重樫選手。
的確に当てていたのはゲハラ選手。
リーチが長くタイミングもゲハラ選手の方が優っている印象で、全体の試合のペースを握っていたようでしたので、4ラウンド時点の公開採点は妥当だと思いました。変な小細工がなさそうで良かったです。
さて、この試合でもっともスリリングだったのは同じタイミングで打つ両者の右カウンターでした。
どちらも距離がつまった一瞬のタイミングで打つカウンター。
やはりゲハラ選手は最初から威力がありうまかったので、ちょっと怖いなと思っていました。
八重樫選手は、リーチのハンデをデハラ選手の右パンチ後に打つ左フックで対抗しようとしていたように見受けられましたが、今日の八重樫選手はガードが甘く、このパンチ力をもつ相手にはかなり危険すぎましたね。
ロマゴン相手にあれだけ我慢したので、多少打たれ強さに自信があったのでしょうか。
あるいは勇敢な性格がなせるわざなのでしょうか。打たれても打ち返すというのは良かったのですが、あれだけ打たれるとさすがの八重樫選手も効いてくると思います。
もう少しガードするなり、頭をふるなり、足を使うなり、できる選手だけに悔やまれました。
チャンピオンになったゲハラ選手は、攻撃が強かったです。ジャブの手数も多いし、左ボディブローも良かったです。まとめるパンチもあって、コンビネーションも多彩。パンチ力、的確さ以外にもそんな技術がありました。
八重樫選手をKOしたパンチはまさに急所を的確に打ちぬいた見事なパンチでした。
八重樫選手も百戦錬磨ですので十分予想していたと思いますが、メキシカン独特のタイミングで来たフックの左ボディだったので、効いてしまったように思います。
さすが世界1位ですね。
もうひとつゲハラ選手が良かったのは、ほとんんど相手に体の正面を見せなかった点ですね。
八重樫選手が体を相手に正面に向け、真っ向から向かって行くのに対して、ゲハラ選手は体の左半分しか八重樫選手に向けないで、打たせる場所をほとんど無くして戦っていたと思います。どこを狙うか最後まで絞らせない立ち位置もうまかったと思いました。
このようなスタイルは、リナレス選手と戦ったハビエル・プリント選手にも見られましたのでメキシコの選手が一般的に取り入れているスタイルなのでしょうか。
八重樫選手の勇敢さには敬服しますが、次回からはもう少しディフェンシブに戦いつつその偉大な勇気を示す試合をして欲しいと感じました。
今日は相手が強かったと思いますが、八重樫選手も逃げないで戦う姿は勇敢でした。
KO負けは残念でしたが、八重樫選手の御蔭でボクシングのだいご味であるスリリングな試合を見ることができました。八重樫選手ありがとうございました。ゆっくり休んで、また次の試合も期待しています。

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2014.12.30 村田諒太(帝拳)×ニック・ロウ(米国)

年末になりました。

ここ数年は大みそかに世界タイトルマッチが行われるようになり、少しはボクシングの人気も上がって来たかなと期待していた中、今年は8試合も世界タイトルマッチが開かれるというファンにとってはこの上なく嬉しい年の瀬になりましたね。
しかも、タイトルマッチ以外にも、オリンピック金メダリストの村田選手や元世界チャンピオンの井岡一翔選手・宮崎亮選手などの試合も組まれていて、いよいよボクシング界も本腰入れてファン拡大に取り組始めたのでしょうか。
しかも民放のテレビ局が放送してくれているのが嬉しいですね。
大掃除も済ませてゆっくりテレビ観戦することができました。
さて、今日12月30日は、まず村田諒太選手×ニックロウ選手の試合からです。
村田選手は、解説の西岡利晃氏も話していましたが、今日の試合は世界戦に向けてさまざまなテストをしているような印象でした。まあ、何と言っても世界タイトルは12ラウンドですから、この長丁場をどうやって戦うか、スタミナやペース配分を身につける必要があるといった感じでしょうか。12ラウンド以外は、無理にKOを狙わずフルに10ラウンドを戦おうという様子み見られました。
攻撃としては、特に今日は右フックをガードに隙間から打ち込むパンチをたくさん打っていたのが印象的でした。ゴロフキンにスタイルを取り入れたのでしょうか。ガードが堅い選手相手に良く決まっていたと思います。
ジャブもたくさん手数が出て、右ボディのストレートや左ボディも的確でした。
終盤は、ワンツーや連打も交えて、ほぼ思うような攻撃の練習?はできたのではないでしょうか。
しかし、おそらく今日の村田選手は最初からディフェンス重視の作戦だった気がします。やはり世界の重量級には一発で試合を決めてします強烈なハードパンチャーがゴロゴロしていて、それをひとつ喰ったらおしまいということが有るわけでして、上に行けば行くほど今まで以上に相手のパンチをもらわないということが大切になってくると思います。そういう意味ではいろいろなことを試していましたね。
ガードが高くボディブローの対応もほぼ完璧でした。特に左のガードが高くまともに受けたパンチは1・2発くらいでしたでしょうか・・・
サークリングのステップも基本通りでしたし、相手のパンチも良く見ていて、予想外のパンチは受けていないと思います。
相手の正面に立たないで、位置を変えてはパンチを放つ、そういう器用さも見られました。
終盤KOできなかったこと以外は、ほぼ思い描いていたような試合ではなかったでしょうか。
とここまで書きますと満点に近い試合だったように思われますが、ただ、ちょっと気になる点もいくつかありました。
序盤、スタミナ配分の関係でしょうか、何となくパンチに切れがなかった印象です。距離が相手の有利になった時に、パンチはガードしていますが、何もせず見ている時間がちょっと長い気がします。
それと関連しますが、もう少し気になるのがカウンターが少なすぎの部分です。まず、ディフェンシブに戦うということだったら仕方がない気もしますが、今までに見た試合でも、カウンターが少なかったと思います。もちろん、並はずれたパンチ力があるので自分から攻撃したパンチで相手をKOすることができましたが、これから打たれ強い世界ランカーと対戦した場合、ちょっと心細いです。もし、このパンチ力にカウンターがあれ相当世界と戦えると思いますが。
もうひとつは右のボディーブローを打つ時に軸の位置がぶれるのが気になります。重心が高く不安定でここにカウンターをくらうと危ないです。
ともかく、ゴールドメダリストとして期待も高い村田選手なので、かなり慎重な試合運びになるとは思いますが、もう一皮むけるために、世界挑戦までに何試合かは必要な気がします。
村田選手には、何とかこの重量級で世界タイトルを獲ってもらいたいという期待が膨らむので、血のにじむような練習と減量をして試合に挑んでいる中、いろいろ注文するのは気が引けるのですが、心からボクシングを愛するファンとして村田選手にはおゆるし頂きたいと願います。
今後の活躍を楽しみにしています。村田選手、お疲れ様でした。

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2014.9.12 大場浩平(真正)×相馬圭吾(三追)

元日本バンタム級王者の大場浩平選手がついに引退を表明しました。

馬鹿正直で真面目な性格と、一生懸命練習に打ち込む姿勢、そして軽やかなステップ、トリッキーでスピーディなボクシングスタイルに、長い間、夢を追い続けて大場選手を応援してきた者としては、今はとても寂しい気がしています。
おそらくラストファイトになるだろうと思い、名古屋から大阪まで足を運びました。
前回のカバジェロ戦の試合後に、これで引退と、このブログでも書きましたが、当日の記者会見で後1試合だけはやりたいということを話していたようでした。
本人にしか分からないグローブの置き方と言いますか、引き際の美学があったのでしょう。
大場選手は、今回の試合後話しているように、実際は以前から目の状態が悪く、再起戦と呼ばれる程良い試合になる可能性はほぼゼロに近いのではないかと思っていましたが、案の定、これまでのキャリアの中で最悪の試合だったのではなかったでしょうか。
それにしても相手の相馬選手。体力がありました。1Rゴングと同時に大場選手が苦手とする押しこみ気味の攻撃を容赦なく仕掛けてきました。1分もたたない内に、ああ、今日はずっとこの戦法で来るんだな、と観戦していました。相馬選手も番狂わせで勝利すれば世界ランカーになれる試合です。一生懸命パンチを繰り出していました。
大場選手は、ロープを背負って見栄えは悪かったのですが、まともにはパンチをもらわず、しかしほとんど動かずに時折、ボディで反撃してこの回は終わりました。
動きが悪い上に、スピードもパンチ力も無かったので、急な試合のための減量が響いて調子が悪いのか、この試合を現役最後と決めて楽しんでいるのか、おそらくどちらかだろうと思いながら試合を見ていました。
2・3Rは、大場選手は1Rほどロープを背負わず相馬選手のパンチを体の動きでかわし、空を切らせて会場を沸かせましたが、4Rあたりで右フックを二回ほど顔面にもらった時は、ちょっと冷や汗をかきました。
明らかに全盛期とは違う動きだったので、これはもう限界かなと感じましたが、試合後の記者会見で本人もそのように話していたようですね・・・・・
その後は、さすがにベテランらしく試合を有利に進め、相馬選手の顔面に左フックやワンツー、ボディブローを決めていましたが、かつてのアッパーカットは軌道が正確でなく、全盛期にアッパーカットで何度もダウンを奪ってきたこのパンチが、頻繁に軌道を誤り、カラ振りをくり返す度に、とても悲しい気分になりました。
得意のボディもダウンを奪うほどにはならず、フックも心なしか威力がなく。
そんな姿を見ながら、ああ、大場選手はすっかり変ってしまったな・・・・と。
思い返せば、最初のターニングポイントは日本タイトルの初防衛戦だったと思います。
岐阜ヨコゼキの児玉選手から8RにKO寸前に追い込み、あと一歩のところで不用意に被弾した右フック。あわや逆転KO負けかという試合でした。
この8Rに児玉選手からパンチを浴びるまでが、最高の全盛期だった気がします。気力も体力も自信もあり、打たれたら打ち返す、強い気持ちとタフさがありました。
その後、順調に勝ち進み、WBCでは3位までのぼりつめましたが、世界戦にはお呼びがかからず、病気を経て、真正ジムへ移籍しました。
真正ジムでも順調に勝ち星を重ねて、二つ目のターニングポイントが、東洋太平洋バンタム級タイトルマッチだった気がします。ここで1Rに思いもしない、ロリーの伸びる左・右ストレートを受け、ダウン。これが大きかった気がします。
この試合は、それまで大場選手の試合では見たことの無い壮絶な打ち合いでしたが、この時に目の負傷があったようです。
ここから、大場選手のボクシングスタイルが大きく変化しました。
それでも持ち前の運動神経と練習量で、大場選手は再び世界戦線に躍り出て、ついに世界タイトル挑戦者決定戦を手にしました。
しかし、皆様ご存知のように、意識がもうろうとする中で最後まで戦いましたが、残念な結果になってしまいました。これが最後のターニングポイントではなかったでしょうか。
目の具合さえ完全であれば、また違った展開もあったかなと思いますが、何を言っても今ではたらればになってします・・・・
実力的に世界の上位ランクにずっと君臨していながら(確か10年近く挑戦権のある世界ランカーだったと思いますが)、一度も世界タイトルへの挑戦はかないませんでした。こんな選手は他にいたでしょうか。
ボクシングには、純粋に強い選手が世界と戦うことができるとは限らず、いろいろとりまく環境があるのは十分承知していますが、大場選手には一度はその挑戦をさせてあげたかったというのが正直な感想です。
それにしても最後まで一生懸命練習して、減量して、自分らしく試合を戦って、この日を迎えました。実に爽やかな引退試合でした。
本当に残念ですが、仕方ありません。大場選手には、長い間、本当に夢を見させてもらって、心から感謝したいと思います。第二の人生も蔭ながら応援しています。
お疲れ様でした。
ありがとう!大場浩平選手!1410798936738

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