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2019年7月

WBA世界ミドル級タイトルマッチ 王者ロブ・ブラント(米国)× 同級4位 村田諒太(帝拳)

いや~この試合は、本当にすごかった!感動以外何物もない試合でした!

 

前回、あれだけコテンパンにやられた相手ですから、この試合が組まれた時点で、村田選手はまた同じ展開で負けるのではないか、対策をしたところでせいぜい1~2R挽回するのが関の山ではないか、と誰でも考えたと思います。私もつまらない試合が組まれたなと始めは思いました。

日常の会話と同じで、何かかみ合わない相手とか、やりとりにしっくり感がない人とか、そういうことが誰にでもあると思いますが、そういう相手に自分の主張を理解させるのは至難の業です。

村田は良い選手だけど、相性の悪さっていうのはボクシングにもあって、いかんともしがたいんですよね~、とある元東洋太平洋のチャンピオンが話してくれました。ボクシングにも克服するのが難しい相性の良し悪しは、やはりあることでしょう。

しかし、村田選手にはそういった難しい現状を、何とか覆してくれそうな期待や予感を感じさせてくれる選手であることも事実です。

今までのボクサーにない、何といいますか、やはり賢さなのでしょうか。

 

注目の1Rは、出だしからチャンピオンのブラント選手が積極的に攻めてきて、いかにも主導権は自分にあるんだぞというインパクトを与えてきた印象でした。挑戦者の村田選手に対して、前回の試合を再び思い出させ、精神的なプレスをかける作戦かなと思いました。

しかし、村田選手はこの試合にかける意気込みと準備が整っていたようで、一瞬の動揺はあったかもしれませんが、徐々に手数を出しながら、右のボディーブローや初めて見るような右フック?で対抗して、手も足も出なかった前回とは全然違う状態のようでした。

チャンピオンは手数とフットワークで対抗し、まあ、1Rはブラント選手が優勢かなと思いましたが、村田選手はとにかく被弾覚悟で前に出る積極的な攻めの気持ちが見られましたので、何かが起こりそうなワクワク感も感じられました。村田選手が右ボディーを放った後、チャンピオンがフットワークで左回りに逃げようとした時、すかさずの左ボディも初めて見たカウンター気味の良いパンチだと思いました。

多くのボクシングファンにとって試合の楽しみと言えば、KOはもちろんですが、恐怖を乗り越えて前に進む、この夜の村田選手のような勇気を見ることもそのひとつではないでしょうか。

2R目には、ブラント選手も前回の村田選手とは少し違った印象をもったのか、手数は出すものの、村田選手の気勢をそぐような軽いパンチを見舞うだけで、本気で効かせるような強いパンチを打っているようには見えず、警戒しながらフットワークを使ってポイントを取りに行くのかなと思いました。

パンチを出しつつ村田選手のパンチを防御する方向へシフトしたのでしょうか。これは私の感想ですが、ブラント選手が前回と違う村田選手を肌で感じ少し焦りがあったのではないかという気がします。そのような作戦へと舵をきったため、手数は多く見受けられましたが、ちょっとしたとまどいの中で、村田選手の得意の右ストレートを受けてしまったのではないでしょうか。ともかくこの村田選手の強烈なパンチがヒットしてから一気に観るもののボルテージがあがりました。

 

明らかに村田選手攻勢となりましたが、更に意外なことに村田選手の左フックがブラント選手の顔面をとらえ、これがかなり効いてダウンに繋がったようでした。この左フック、これも過去の村田選手の試合では見たことのないパンチでした。

村田選手は右ストレートが強烈で、このパンチひとつでチャンピオンになったと言っても過言ではないと思いますが、この左フックは意外でした。自分でも話していたとおり、短期間でボクシングの幅をかなり広げたと思います。

そして、ダウンの後は一方的にパンチを浴びせ見事なTKO勝ち。

あっ、そうそう。もうひとつ村田選手の動きに注目したのが、クリンチをさせない体の使い方ですね。2Rにラッシュをかけた時、相手がクリンチに逃れようと村田選手の方に体を寄せて組みきていましたが、テクニックか偶然なのか、うまくかわしてパンチを当てていき、これもTKOに繋がったと思います。チャンスにややもするとクリンチをされてKOを逃すシーンは、いろんな試合でも見られるものですが、この試合、村田選手がパンチを打ち続けることができたのも、クリンチさせなかったということがあります。

 

さて、さて、それにしても私がボクシング観戦でここまで心がゆさぶられたのは、長谷川穂積選手が最後のタイトルマッチでTKO勝ちして以来ですね。その試合は会場で生観戦していたので特に感動したのですが、観客は総立ちで長谷川選手に拍手を送っていました。今回の村田選手も、会場ではそれくらいの感動があったのではないでしょうか。ともかく、村田選手は他のボクサーにない個性をもっていると思っていましたが、あんな結果を出すなんて、昨夜の試合は本当に感動させられました。

村田選手は、試合後のインタビューでチーム帝拳に感謝の言葉を連発していましたが、本当に大きなプレッシャーに中で帝拳ジムのサポートに感謝していたのだと思います。しかし、一瞬涙を流す場面があり、やっぱり個人的にはすごく大きな不安があって、それをはねのけた安ど感が、村田選手の涙に繋がったのではなかったでしょうか。

チームのサポートはすごく大きいと思います。しかし、リングの中まで手とり足取りサポートはできません。

相手との対戦は、やはり自分だけ。

村田選手は不安はある、しかし、不安は自分を成長させてくれる、といったようなコメントを残していました。

何かと不安の多い世の中で勇気づけられる言葉だと思います。

 

試合の何日か前に帝拳ジムの本田会長が、村田選手の練習を見せるために相手のスタッフを招待したという、新聞記事を読みました。

招待という言葉に違和感があり、真実は分かりませんが、もしかしたら本田会長は村田選手の勝利を確信しているのかなとも思ったものでした。試合後の感想を聞いてみても、想定どおりの試合だったみたいで、さすがにボクシンングを見る目が違うなと感心しました。

ともかく、大きな感動を与えてくれた村田選手、ありがとうございました。

 

 

 

 

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WBCライトフライ級タイトルマッチ 王者 拳四朗 × 同級1位 ジョナサン・タコニン

親しい知人から、貴方の書いているボクシングブログを見たいからブログのタイトルとアドレスを教えて下さい、と言われ、しばらく投稿していなかったのですが、この言葉をきかけに久しぶりに記事を書こうと思います。

ちょうど、村田選手と拳四朗選手のダブルタイトルマッチがテレビで中継される予定でしたので、昨晩はジムでの練習も早々と切り上げ、家に帰って時間通りの晩御飯。準備万端でゆっくり観戦することにができました。

まずは、拳四朗選手の試合から。

相手は軽量級とは言え70%近くのKO率を誇る、同級1位の挑戦者ジョナサン・タコニン。この試合は、拳四朗選手のテクニックが一発強打のタコニン選手をどうやってかわしていきながら勝利するのか、というのが一番の興味でした。しかし、拳四朗選手は挑戦者ほどKO率は高くないのですが、チャンピオンになってますますパワーアップしている印象があり、チャンピオンも自信満々でしたからおそらく負けることはないだろうと期待を大きくしての観戦でした。

試合内容ですが、最初から拳四朗選手はサウスポー相手に左のジャブをよく出していましたね。強弱をつけたジャブは距離や相手の出方を伺うには効果的ですが、相手の右ジャブも近い距離にあるので被弾する可能性も高くなり、私の印象としては、最初からよく勇気を出してジャブを出しているな、というものでした。チャレンジャーのタコニン選手も好戦的で、一発当てれば勝利はこっちのものだと言わんばかりのパンチで応酬します。身体を丸くし相手のパンチをガードするディフェンスで、チャンピオンがロープを背負った時には左右の強烈な挑戦者のボディが入り、一瞬ヒヤッとさせられました。

しかし、その後は足を使い、ロープに詰まらされることもなく距離をとってのカウンター、右ストレートを時折ヒットさせていました。相手がチャンピオンのふところに入ってきて、距離をつぶされた時には右アッパーも的確にヒットして、これは面白い試合になりそうだなと思っていました。相手の強打もなかなかのものがあり、試合が進むにつれて特に体を潜らせての左右のフック、左のダブルを拳四朗選手も何回か被弾していまして、目が離せない展開になりました。相手もさすがにランキング1位の挑戦者です。

試合の中盤くらいでしょうか、お互いが相手のパンチの打ち終わりを狙って、お互いがパンチを受ける状態が続きます。自分のパンチが当たったぞ、と思ったらすかさず、相手のパンチを受けてしまうといった感じです。パンチを打つ瞬間はガードが空きますから、そこをお互いが狙い撃ちしているみたいでした。ただ、先の先を見据えたパンチの応酬はかなりの体力や神経を使うはずで、レベルの高さを感じました。挑戦者がますます勢いよく前に出て来るのを迎え撃つのは少々危険だと思いましたが、相手の勢いを止めるためか、リスクを犯しながらも足を止めて打ち合うチャンピオンもなかなか見せ場を作ってくれます。

チャンピオンは時折打ち合いましたが、今回の試合はあくまでも冷静な試合運びだったと思います。相手のパンチをよく見ながら、徐々にカウンターのタイミングがあってきて、チャンピオンペースになりつつあったと思います。右アッパーやひっかっけ気味の右フックもタイミング的に合ってきている気がしました。被弾していましたが、このパンチでは倒れないという自信のようなものも感じましたし、自分のパンチを当てれば倒せるぞ、といった自信も感じました。最後は、自分から積極的に仕掛けてパンチを繰り出す拳四朗選手に、おそらくセコンドだと思いますが、(相手が)打ってから、といった声が聞こえ、それから相手がパンチを出してくるところを冷静に見極めた末、相手が左フックを打ってきたところをかわしながら右ショートカウンターが見事に決まり、TKOに繋がりました。

それにしても試合中に、自分のピンチを冷静に振り返りすぐ対応するあたりはさすがです。

具志堅用高のもつ日本防衛記録を狙うと言いながら、強い選手とやりたいと話す拳四朗選手の今後が楽しみです。

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